相続の遺産分割の協議の結果は、口約束ではなく遺産分割協議書という書面にまとめるようにします。
相続登記の依頼を受けたときは、基本的には不動産(土地建物)をどのように分けるか誰が相続するかについての遺産分割協議書を作成しますが、もし預貯金がだれが取得するか、預貯金の解約の手続きを済ませていいないときは、不動産以外の預貯金、証券、借金などをどのように分けるかについても遺産分割協議書にまとめ、作成することができます。
預貯金については、各銀行から書類を取り寄せて解約手続をすることもできますが、各銀行ごとに相続人全員の実印をついて提出することになるので、けっこう手間のかかる作業となります。
その手間を省くためにも、まず司法書士に相談して遺産分割協議書を作成すれば、この遺産分割協議書がすべての銀行で使うことができるのでぜひ依頼してください。
協議書は、相続人の人数分を作成して、各相続人に署名をしてもらい、実印を押し、印鑑証明書を添付して、各相続人が保有することになります。
遺産分割協議書を作成することの意味は、後日言った、言わないというようなトラブルを防ぐためで、とっても重要です。
遺産分割協議書はきまった書式というものはありません。
各遺産相続についてカスタマイズして作ることになります。
「誰が」「なにを」「どれだけ」相続するかをできるだけ具体的に記載します。
その資料としては、不動産については、登記簿謄本、権利証、固定資産税課税明細書などがあります。
特に建物は、自己資金で建築した場合は、登記をしてないケースがほとんど(融資を受けた場合は、担保として抵当権設定登記をしないといけないので必ず登記をする)なので、固定資産税課税明細書と登記簿・権利証などと付き合わせて、登記されていない建物については、市町村役場の課税台帳の相続による変更届出だけをして、相続登記はしないケースがほとんどです。
未登記の建物の表紙・保存登記の手数料が10~15万円くらいは余分にいるので、特別な事情がない限り登記手続きは省略しています。
不動産の相続登記の遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、基本的には1通だけ取得すればいいです。
通常なにか印鑑証明書が必要な手続きを行うときは、発行後3ヶ月以内のものを要求されますが、相続登記に添付する印鑑証明書は有効期限はありません。
10年前に遺産分割協議書を作成して、印鑑証明書も10年前のものであっても、遺産分割協議をしたという事実に変わりはないので、印鑑証明書が古いからといって遺産分割協議が無効になるものではありません。
なお、銀行などの預貯金の解約手続きについては、発行後3ヶ月以内の印鑑証明書の提出を要求されます。
ちなみに、被相続人の除籍謄本、改製原戸籍も有効期限は決まっていません。
戸籍謄本と違って、あらたに書き替えられることはないからです。
戸籍謄本については、結婚・離婚等で書き替えられるので、被相続人が死亡した日以後のものが必要となります。
被相続人が死亡した時点で確かに相続人であったことを確認しないといけないからです。
戸籍謄本については、被相続人が死亡した以後のものであればという条件付で有効期限はないということになります。